前述でも述べたように、「今回の映画のテーマは何?」とここ最近よく聞かれます。 周囲の人間からするとジブリファンの私に聞けばこの映画でのジブリ映画の伝えたいことがわかるだろうと思って聞いてくるのでしょうが、そういう質問をされると少し寂しくなります。 いつからかジブリ映画は「自然に優しい映画」だとか「現代に何かを訴える映画」とかいう色が強く印象づけられているようです。 確かに映画の中には作り手の考えが少なからずとも入っているとは思いますが、それはいちいち頭で考えて見つけ出すようなものでもなければ、活字であらわせるようなモノでも無いような気がします。 ですからそのように問われたときに僕はこう答えるようにしています。 「テーマとかそんなモノは2の次でいいんだと思う。映画館に入る前よりも、映画を見終わって映画館を出るときに少し心が豊かになっていればそれでいいんじゃないか」と。 千と千尋の神隠しを見終わったときに一番強く思ったのが、私を含めて映画館を後にする人たちの顔が、みんな笑顔でいい顔をしていたということ。それだけで十分なようなきがしたんです。 映画をテーマで観てしまうとものすごくもったいないようなきがします。その映画全体の雰囲気を感じて、感動して、あるふとした日にその映画の事を思い出して「あの映画のことで自分が少し強く、豊かになれた気がするな」程度でいいかなと思うこのごろです。 |
これも上で述べたモノと重複する部分があるのですが、これまた知り合いによく聞かれます。 「あのシーンはどういう意味があるの?」とか「あのシーンはこういうことを言いたかったんでしょ」と。 これまたちょっぴり悲しくなります。 話を聞いていると「君は映画のあら探しをしているのか?」と疑いたくなってきます。 もちろんそんなつもりはないのでしょうが、無理に映画の裏を読みたがるのです。 私はこう思うようにしています。「映画は作り手だけのモノじゃなく、映画が完成した時点でその映画は作り手の側から離れて行くんじゃないか」と 観る人それぞれのために映画は多種多様に形を変えていくモノだと思っています。十人の人間が観れば十人の捉え方があるだろうし、もしそこで「いや、アレはそうじゃなくてこう言う意味があるんだよ」といって納得してしまうのかなとも思います。 上でも述べたようにもっと映画全体を楽しんで欲しいなと強く思います。 |