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今日は僕の友人の話をさせていただきたいと思います。 彼はこの「今日のぼやき」にもよく登場する男で、なんと表現していいのか分からないですが、簡潔明瞭に説明すると「阿呆」です。 よく彼はいわゆる「大人買い」をします。 ファミコンのソフトから始まり、ビックリマンやペプシなど「あなた馬鹿でしょ?」と反射的に言ってしまうような行為が好きらしいです。
そんな彼から先日一本の電話が入りました。 僕は携帯電話のディスプレイで彼の名前を確認し、電話に出る。 彼は「長野に行こう」という。 僕は千葉県に住んでいる。長野といえばそれはもう旅行の域に達するのだ。 それが東京へ行こうとかいう話なら別に気にもとめずにOKを出すが、さすがに長野になると「何しに行くのか?」が気になるのだ。 そこで僕が「何しに行くの?」と聞くと彼は即答で答えた。
「ワインを買いに行く」
「?」である。ワイン?ワインなんぞそこらにいくらでもころがっとるのに、何故に長野までいかにゃならんのだ。 彼は間髪入れずに言った。
「長野に美味いワインがあるんだ」
「そりゃそうだろう・・・たいして美味くもないワインをわざわざ片道何百キロかけて買いに行くくらいなら、家でワイドショーでもみながら煎餅バリバリかじってる方がよっぽど有意義だ」と喉まででかかった言葉を呑み込んで 「あ、そう」と答える。
しかし、いくら美味いワインだからと言って長野まで買いに行く彼の思考が僕にはビタイチ理解できない。 確かにそのワインはとろけるようなうまさなのかも知れないが、どうなんだろう。 彼はこれと言ってバスローブに身を包みフカフカのソファーでペルシャネコを撫でながらワインを飲むようなお決まりのワイン通でもないし、月給百万を越えるブルジョアでもない。長野まで行って帰ってくるだけの高速代とガソリン代も馬鹿にならない。 それにあとから聞いた話によるとそのワインを 「ダースで買った」と言うではないか。
ここまで来るといよいよ持って手の施しようのない阿呆だ。 しかし、彼の勢いはとどまることを知らない。
「いや、マジで美味いんだってこのワイン」を連発する。それはもう宗教の勧誘でもしてるのかと錯覚を起こしてしまうほどだ。 だんだんと僕も彼に洗脳されてきて、最終的には「行こう」という話になってしまうのだ。 1本2000円のワインをはるばる千葉から長野まで買いに行く。この思考が何処から湧いて出てくるのか分からないが、彼はこういう無謀且つ無駄な行為が大好きなのだ。
PS.恐らくいつかこのぼやきを見るだろうから先に謝っておきます。阿呆阿呆と連発してすみません。でもね、君はやっぱり極上の阿呆です。
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